土井垣は葉月を抱き上げたまま玄関へ入ると扉を閉め、そこで彼女が恥ずかしそうに呟く。
「あの…もうそろそろ下ろしてくれて…大丈夫ですよ。あたし…もう、その…落ち着きましたから」
 葉月の言葉に、土井垣はわざと意地悪っぽく返す。
「…駄目だ。下ろしたらまた逃げてしまうかもしれんからな」
「逃げませんから…その、恥ずかしいんで下ろしてください…」
「残念だが…却下だ」
「そんな…」
 葉月は何とか自力で降りようともがいてみるが、あまり動くと自分自身が危険なので、しばらくもがいた後諦めた様に土井垣の首に腕を回した。そんな彼女を見て彼は満足そうに笑う。もがいている内に彼女が履いていたパンプスは脱げたので、彼は器用に彼女を抱いたままそれを揃えると、客間に声を掛けた。
「じゃあ、俺達はこれで失礼します。…後は皆さんで楽しんで下さい」
 土井垣の言葉に客間から土井垣の父の声が返ってくる。
「ああ、じゃあ私達はもう隣に行くから。二人は一晩好きにこの家は使っていなさい」
「ちょっと、それはどういう…」
「葉月さん、お幸せにね〜」
「…!…」
 サキのとどめの言葉に葉月は真っ赤になって言葉を失う。言葉を失っている葉月を抱き上げたまま、土井垣は自分も靴を脱いで玄関と階段を上がり、自分の部屋へ連れて行くとドアを閉めてベッドの上に彼女を下ろす。ベッドに下ろされた所で、葉月は恨めしげな口調で彼に問い掛けた。
「…慣れてますね。一体何人の女性にこういう事したのかしら?」
 葉月の恨めしげな言葉にも、土井垣はしれっとした態度でむしろ嬉しそうに言葉を返す。
「ほう…?少しは嫉妬してくれるのか」
「さあ…どう答えて欲しいですか?」
 今回は土井垣にも負けずに葉月も言い返す。しかしそんな強気な面を見せても彼にはただただ可愛らしく、愛おしいだけだった。土井垣は彼女を押し倒す様に抱きすくめると、にやりと笑って言葉を紡ぐ。
「答えは…いらない。その態度で十分だ」
「それはどうい…んっ…!…」
 更に言い返そうとする葉月の唇を、土井垣は噛みつく様に塞いだ。抵抗して顔を背けようとする彼女を逃さず、逆にその口腔内を蹂躙し、陶酔に溺れさせようとする。そうして長い口付けで陶酔というより観念した様に彼女が抵抗をやめたのを確認すると彼は唇を離し、彼女に対する愛おしさに満ちた眼差しと口調で言葉を零した。
「…可愛いな」
「…何が?」
 肩で息をつきながら問い返す葉月に、土井垣は優しさと愛おしさに満ちた口調のまま言葉を紡いでいく。
「お前の…何もかもがだ。その目も…髪も…唇も…声も…嫉妬する表情ですら、可愛くて…愛おしくて…誰にも見せたくなくなる」
「…随分と今日はリップサービスの調子がいいわね。やっぱり将さん、サキさんに対する負い目があるんじゃないの?」
 拗ねた様に言葉を返す葉月を土井垣は本格的に組み敷くと、またわざと意地悪っぽい言葉と態度を見せる。
「ほう…?そんな事を気にするお前にこそ、そういう負い目が本当はあるんじゃないか?」
「さぁ…どうかしら」
 葉月もわざと挑発的な言葉を返す。二人ともいつの間にか無意識にお互いの独占欲をわざと露わにし、気持ちを確かめあう行為を楽しんでいた。そうしてお互いにしばし挑発的な視線で見つめ合うと、家族が出ていく音を聞いた土井垣がもう一度彼女の唇を塞ぐ。今度は彼女は抵抗せず、その陶酔を受け入れる。静かな室内にかすかに響く籠った息遣いと唾液が混じる音。そうして唇を塞いだまま、彼は彼女が着ているベルベットのワンピースの背中のファスナーに手を掛けて静かに脱がせると、彼女を組み敷いたまま器用にするりと脚から外した。その行為に葉月はふと唇を離すと、わざと拗ねた様に言葉を紡ぐ。
「本当に…服を脱がせるのが上手よね。よっぽどたくさんの女性で実践したのね」
「また、そんな事を言って…今日は随分と不機嫌だな」
「不機嫌にもなるわ。…将さんに昔半分本気で結婚を約束した女性がいたって…分かったんだから」
「だから…それは本当に小さい頃の、過去の事で…今はお前しか見えていないと言ったろう?…どうしたら機嫌を直してくれるんだ」
「…知らない」
 葉月はそう言ってわざと拗ねた表情で顔を背ける。土井垣はふと考える表情を見せると、にやりと笑って呟く。
「そうか…そういう事か」
「何?」
「機嫌を直すよりも…そんな事を忘れさせる方が早い、という訳だ」
「え?将さん…それは…」
「お前の嫉妬以上に…俺の想いをぶつけてやる。そうして欲しいんだろ…?」
 そう言うと土井垣は下着の間から手を滑り込ませてそこにある膨らみを愛しむ。まるで楽器を演奏する様にその膨らみを強弱をつけて揉みしだき、その頂を指で弄ぶ彼の愛撫に反応して、彼女は思わず声を上げる。
「あ…ちょっ…ま…」
「駄目だ…お前が望んだ事だぞ…」
「ちが、あたしは…そんな意味で…言った…ぁっ!」
 その内その頂がツンと立ったのを指の感覚で感じ取った土井垣は下着を剥ぎ取る様に外すと、その頂を口に含み、舌と唇で執拗に味わう。そうしている内にも片方の手はもう一つの膨らみにかけられ、更に揉みしだかれた。彼女は徐々に彼から与えられる快楽に切なげな表情を見せ始め、それを見た彼は満足そうに笑って囁きかける。
「そうだ…俺に抱かれて見せるその表情も…いや、その表情が一番…可愛い」
「しょ…さ…」
「もっと…見せてくれ…お前の、可愛い…色々な表情を」
 そう言うと土井垣は身体を愛撫し赤い印をつけながら、もう一つの手を葉月の脚の付け根に下ろし、二枚の薄布の上からその秘められた泉の花に触れていく。その愛撫で今度は先刻よりも濃い粘液が布に付き、染みとおりながら溢れる淫猥な音がした。彼女の泉は彼の愛撫で、すでに蜜が溢れ始めていたのだ。それを感じた土井垣は楽しそうに、わざと意地悪な口調でまた囁きかける。
「いつも…思うが…お前は本当に…感じやすいな。…ほら、もう…俺を受け入れ始めている」
「や…しょう…さぁん…」
「もう…我慢できなくなっているんだろ…?」
「やだ…いや…そんな…」
「嫌なのは…じらされるのがだろ…?」
「ちが…も…やめ…」
「すぐ…楽にしてやる」
 そう言うと土井垣は二枚の薄布を一気に掴んで引き下ろすと脚から外し、茂みから泉へと一度に二本の指を分け入れた。泉への指の侵入だけで彼女は更に強い感覚に襲われ、胎内が彼の指を絞めつけながら、彼女は一際甘い声を上げる。
「ぁぁんっ…!やめ…」
「ふむ…他の男は…いないみたいだな。いつもの…お前の反応だ…でも」
「で…も…?…」
「いつもより…熱くて、濡れている気がする…感じているな。…やっぱり…場所が場所だと、誰もいないと分かっていても…スリルがあって、感じる…か…?」
 そう意地悪っぽく囁いて土井垣は葉月ににやりと笑い掛ける。彼女は羞恥心と快楽の狭間で、懇願する様に途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
「おね…がい…しょ…さ…こんな…こと…やめ…」
「駄目だ…お楽しみはこれからだぞ…?…」
「そんな…ぁんっ!…」
 土井垣は更に意地悪っぽく囁いた後、彼女の胎内にある指を蠢かせ、更に花芯を親指で愛撫する。そうした彼の指の動きに合わせて、静かな部屋に息遣いとくぐもった濃い粘液が溢れる淫猥な音が響き渡り、その音に羞恥心を掻き立てられ、反面その隠微な音に刺激されて羞恥心をも超える快楽に溺れそうになり、葉月は二つの感情の間で揺れ動きながら甘い声を上げていく。
「あっ、ゃっ…んんっ!…しょ…さぁん…」
「まだ…まだだ…もっと、見せてもらう。…お前の…可愛い姿を」
 そう言うと彼はぐいっと彼女の脚を開き、その付け根に顔を埋め、泉から胎内に舌を割り込ませ蜜を味わい、花芯を甘噛みする。彼女はもう堪えられなかった。羞恥心を忘れ、快楽に溺れ、ただ甘い声を上げるのみになっていく。
「んっ…くぅ…あぁ……っはぁぁぁあんっ!」
 やがて彼女は頂点に達し、泉から蜜が溢れだすと共に、脚ががくがくと震え、脱力した。それを見た土井垣はわざと切なげな表情のまま肩でまた息をついている彼女の耳元に意地悪な口調で言葉を囁き掛ける。
「もう…ギブアップか…?」
「…ひど…い…しょう…さん…」
「酷くて結構。だが、俺は…まだ満足していない。…今度は、俺を…満足させてもらうぞ」
 そう言うと彼は身に纏っているものをするりと衣擦れの音とともに脱ぎ、一糸まとわぬ姿になると、彼女の反応ですでに主張している彼自身でまだ蜜が溢れている彼女を貫いた。彼女の泉は蜜で溢れていたが、こうした行為にはまだ慣れていない彼女の胎内は、まるで彼女の最後の抵抗を表すかの様に、きつい抵抗感を持って彼を受け入れる。しかしそれも気にせず彼は身を沈めていき、彼女の胎内を突き上げ始めた。彼女はしばらく苦痛の表情を見せていたが、やがて彼自身と彼女の胎内が蜜越しに擦り合わされ、胎内が彼に緩急をつけ突き上げられる感覚に、胎内の奥底から快楽が湧き上がってきた様で、その心のままの甘い陶酔の表情を見せ始める。彼は更に彼女に快楽をもたらそうと、律動を続けながら彼女の花芯を愛撫する。更に訪れた二つの波の様な快楽に彼女は溺れ、切なく甘い陶酔の表情のまま、彼の首に腕を絡ませながら彼自身を締めつけ、腰を動かし始めた。その反応を確認した彼は満足げに笑いながら、彼女に快楽を与え続け、囁きかける。
「そうだ…その顔だ。…可愛くて…綺麗な、おれ…だけの…おまえだ…」
「しょ…さぁん…もう…」
「まだ…まだだ。…俺は…満足して…いない」
「はぁっ…そん…なぁ…く……ふぅんっ!…」
 やがて彼女の熱い胎内に締め付けられ、温められ、土井垣にも波の様な快楽が訪れる。お互いの快楽の波を確かめる様に、二人は見つめ合う――
「んんっ……!……しょ…さ…はぁっ…おね…が……も…う…」
「いや…まだだ…もう…すこし…」
「んっ、んっ、くぅっ………あ……あぁぁぁぁっ…!」
 そして彼が自らの欲望を彼女の胎内に放出したと同時に、彼女は快楽の海に沈みこんでいった――

 行為の後処理のために彼が彼女にバスタオルを渡すと、彼女は自分の脚に滑り落ちている愛しい男の精と自らの蜜の混じった液体を恥ずかしげにさっとふき取り、胸元を隠して彼に対して背中を向けた。その彼女の態度に彼は成り行きとはいえ酷い事をしてしまった気がして、でも今まで見せていた彼女の快楽に溺れた表情も愛しくて、彼女を背中から抱きしめる様に首に腕を絡める。彼女がビクンと身体を震わせたのに気づいて、土井垣は宥める様にその耳元に囁いた。
「もう…何も意地悪はしない。約束する。だから…こっちを向いてくれ」
「…」
「…葉月」
 彼は今日の一連の『意地悪』で、すっかり彼女の機嫌を損ねてしまったのか、と少々後悔したが、たとえどんなに拒まれたとしても、自分の衝動を止める事はできなかっただろう。それ程に今日の彼女は可愛くて、自らが傷つけたせいとはいえ、儚げな雰囲気が蠱惑的で――何もかもが愛おしくて独占したいものだったのだ。それを何とか伝えようとして言葉を紡ぎ出そうとした時、不意に葉月が振り返って深く口付ける。唐突な彼女からの深い口付けに、今度は自分の方が突発的な陶酔に溺れた。その様子を見た彼女はにっこりと微笑むと、さらりと言葉を紡ぐ。
「本当は全然フェアじゃないけど…これでおあいこ。許してあげる」
「…そうか」
「…うん」
 そう言って二人は顔を見合せて微笑み合うと、彼は悪戯っぽく言葉を掛けた。
「その笑顔も…可愛い」
「…そう?」
「…ああ」
「…ありがと」
 そう言うと彼女はバスタオルを身体に巻き、困った様に言葉を紡ぐ。
「ストッキング…どうしようかしら。一応替えはあるけど、駄目になっちゃった方は残して行ったら何言われるか…」
 そんな葉月の言葉に、土井垣は悪戯っぽく言葉を返す。
「いいじゃないか。どうせ皆俺達がこうしているって知っているんだから」
「…もう」
 そう言って彼女は拗ねた様に横を向く。その表情も愛しくて彼女の顔を向き直らせキスをすると、さらりと言葉を紡ぐ。
「手洗いにお袋のサニタリーボックスがあるから、そこに切り刻んで捨てればいいだろう。そうすれば気付かれずに捨てられるさ」
「それも…そうね…それから」
「それから?」
「あたし…何着て寝ればいいのかしら。…そうだ、将さんパジャマ貸してくれます?このワンピースはしわにしたくないし…」
 土井垣はその言葉ににやりと笑うと、意地悪っぽく言葉を返した。
「残念だが…替えのパジャマはここには一着しか残してない」
「えっ…?じゃあどうしたら…」
 土井垣の嘘か本当か分からない発言を真に受けて本気で困る彼女に、土井垣は更に悪戯っぽく言葉を紡ぐ。
「…一つだけ考えなくてすむ方法があるぞ」
「…何?その『方法』って」
 素朴に問い返す葉月に、土井垣はしれっとした態度で答える。
「眠らなければいい。一晩中…二人でこうしていよう」
「さっき言った事は嘘なんですか?」
 不満げに言葉を紡ぐ葉月に、土井垣は更にしれっと言葉を返す。
「気が変わった。やっぱりこんなに可愛いお前は一晩中…抱いていたい」
「…」
「…駄目か?」
 土井垣の問いに葉月はしばらく彼を見つめていたが、不意にふっとまた深い口付けをした後、蠱惑的な表情で答えを返す様に呟く。
「…分かってるくせに」
「それが…答えか」
 そう言うと土井垣はまたきつく彼女を抱き締め、二人は夜の闇に紛れ、二人の間の官能的で、しかし優しい快楽の海にまた沈んでいった。

 え〜と、これはギフトコーナーに書いてある通り『DOKAX』のK'm様からのキリリクとしてあちらのオリキャラのコラボをという事から書いて献上した『お豆腐狂想曲』の裏話でございます。さすがに他サイト様とのコラボでエロはあかんだろうと思いつつ『すいませんが…』と話してやらかしてもいいかお伺いをたてたところ『大丈夫ですよ〜』という温かいお言葉を頂きまして、書いた揚句表と一緒に献上してしまったという…(自爆)。『若さは馬鹿さ』を地で行くことをやらかした自分を穴掘って埋めたいんですが、『若さって何だ?』という問いの答えが私世代は『振り向かないことさ』となるのでその当時の若さをまんま晒したいと思います←おい
 しかし作成年が2009年という事で今読むと当時MAXのエロさ加減でございまして。ここでまた自分のエロさリミッターが一つ解除されたという思い出の作品ですな。最近そのエロさが義経の方に顕著に表れてしまってますが土井垣さんのネタでも構想ストックはまだあって、コスプレエッチネタに至っては書きかけになってるんで体調見ながらエロネタの方も少しづつ書いていきたいものだと思っています。
 次は上記のコスプレエッチネタか心の旅人シリーズの続きか…どっちも一日も早くアップできる様に頑張ります。

[2013年 09月 01日]