土井垣と葉月は逗留先のホテルのラウンジで酒を飲んだ後、彼の部屋へと移動する。今日は彼の誕生日で彼は四国へ遠征に来ていたのだが、葉月はチームメイトの策略…もとい、気遣いにより彼への『プレゼント』として試合からホテルまで招待されてやって来たのである。ホテルのフロアも同じ階だとチームメイトは言っていたが、よくよく調べると部屋も隣同士。ここまでやり通したチームメイトと『協力者』数名に呆れ半分、感服半分といった感じで彼は口を開く。
「何だかここまでやられると…気恥ずかしいな」
「そうね。…ねぇ」
「何だ」
「この階…将さん以外の選手の人も泊まってるの?」
「いや…実を言うと残りのメンバーは、スタッフ含めてもう一つ上と下の階だ」
「じゃあ…ここにチームの人でいるのは…将さんだけなの?」
「…ああ」
「皆さん…やりすぎだわ」
「そうかもしれんな…でも」
「でも?」
「こうやって二人きりにしてくれたあいつらに礼を言わなければ、と俺は思うぞ」
そう言うと土井垣は葉月を抱き寄せて深く口付け、髪のリボンを解いた。腰まである彼女のしなやかで豊かな髪がふわりと広がるのを見て、彼は嬉しそうに呟く。
「相変わらず…綺麗な髪だな」
「将さん…ちょっと、待って…」
「待たん…『プレゼント』は大人しくしていろ」
性急な自分の行動に戸惑う葉月を尻目に、土井垣は作業を進めていく。まず指輪に愛しげに軽く口付け、大切に左手の薬指から外してベッドサイドに置いた後、髪を掻き揚げながらワンピースのファスナーを下ろし腰まで脱がせるとベッドに押し倒し、唇を首筋に寄せながら胸の膨らみに手をかけ、強弱をつけて揉みしだいた。すぐに彼女はその愛撫に反応し、しかし羞恥心から弱々しく抵抗をする。
「しょ…さん…ちょっと…シャワー…」
「待てない…それに、お前もう風呂に入ったろう。…ボディソープの香りがする」
「やだ…待って…心の準備が…」
「嫌だ…ここまで来たんだ。もうこうなる事位分かっているだろう…諦めろ」
「そんな……っ!…やぁんっ…」
その内彼の愛撫で彼女の身体は色づき、胸の頂も主張してくる。土井垣はその反応に淫靡な笑みを見せワンピースを剥ぎ取る様に脚から外すと、首筋から唇を滑らせ、胸の頂を口に含む。そうしている間にも片方の手は彼女のもう一つの膨らみにかけられ、もう片方の手は身体中を滑っていく。しかし彼女はその与えられる快楽を堪える様に唇を噛み締めていた。その態度が不思議で、彼は彼女に囁く様に問いかける。
「どうした…いつもの様に声を出せばいいじゃないか」
「だって…チームメイトの人が…」
「このフロアにはいない。大丈夫だ…だから、聞かせてくれ…お前の愛らしい声を」
「でも…んっ…はぁ…」
土井垣は抵抗する葉月を陥落させようと、彼女の弱点を次々と攻めていく。彼女はその愛撫になす術なく流され始めた。
「あぁ…しょう…さん…やめ…」
「嫌だ…と言ったろう…?もっと…聞かせてもらうぞ…お前の可愛い声をな」
そう言うと土井垣は最後まで残していた薄布を彼女の脚から外し、彼女の泉へと手を滑り込ませた。急に強くなった快楽に、彼女は敏感に反応する。
「あっ…いや…も…なん…て……」
「でも…辛くはないだろう…?」
「しょ…さん…いじわる…だわ……っ!……ぁぁんっ…!」
「もっと…いい気分にしてやる…」
土井垣はわざと意地悪っぽく葉月に囁くと、彼女の泉に顔を埋め、溢れていた蜜を吸いながら舌を蠢かせる。更に波の様に訪れる強い快楽に、彼女はただ溺れていくばかり。
「あ…はぁ…やぁ……あぁぁっ……!」
葉月は彼の愛撫で頂点に達し、身体から力が抜けた。それでも土井垣は彼女を解放せず、彼女を拘束したまま逆に彼自身で彼女を貫き、突き上げる。頂点に達して尚訪れる快楽に彼女はどう応えているのか分からない様子で、感じている羞恥心を乗り越え、その快楽に本能のまま反応する様に自分から腰を動かし始めた。
「く…あぁ…はぁぁぁん…しょう…さぁん…」
「はづき…もっと…もっとだ…お前を…見せて…声を…聞かせてくれ…」
「いやぁ…こん…な…あぁ…みな…いで……んんっ…!」
「いいや…みせて…くれ…かわいらしく…て…きれい…な…おれ…だけの…いと…しい…おんな…」
「そ…ん…なぁ…んぁぁんっ…!」
彼女の反応に土井垣は更に駆り立てられ、彼女を更に強く突き上げ続け、彼女もそれに積極的に応えていく。もう周囲の事など二人は何も気にならなかった。二人が今認めるのはお互いの存在と、お互いに訪れる波の様な快楽のみ。その波に流されながら、二人は快楽の底へ堕ちて行く――
「あふぅ…も…う…」
「はづ…き…おれ…も…」
二人はほぼ同時に快楽の大きなうねりに飲み込まれ、果てていった――
「…どうしよう、首筋にキスマークが…」
「どうせケーシーを着るんだろう?目立たないさ」
「そういう問題じゃありません!その前後はどうするんですか!スタンドカラーのブラウスやシャツなんてあたし持ってないです!」
「大丈夫さ。…本人が気にする程周りは見ていないし、気が付かれたら『蚊に刺された』とでも言っておけ」
「〜っ!」
鏡を見詰め困っている葉月も愛しくて、土井垣はわざと困らせる様な言葉を発していく。それにも素直に応じて怒る彼女が更に愛しくて…彼は彼女を後ろから抱き締めると囁いた。
「それより…短い逢瀬だ。もっと、充分にお前を…感じさせてくれ」
土井垣の囁きに葉月は咎める様な、呆れた様な口調で返す。
「将さん。明日の試合、寝不足で采配狂わせて負けるなんて事あったらどうするんですか。もう寝ましょう」
「嫌だ。『プレゼント』を充分堪能するまで、俺は寝るつもりはないぞ」
「…」
葉月は我侭な子どもの様な土井垣の言葉に更に呆れた様に溜息をつくと、口を開く。
「…じゃあ、二つ約束して下さい」
「何だ」
「ここでこうしている分、寝不足で疲れたからって采配狂わせたりせずに、明日の試合、絶対に完璧な状態で勝つ事。それから…」
「それから?」
「ちゃんと、自分にも結果を出す事。この二つが守れなかったら、何があってもあたしはしばらく将さんと会いませんからね」
「…手厳しいな」
「それくらいこの『プレゼント』は高価なんです」
しれっとして言葉を紡ぐ葉月もやはり愛しくて、土井垣はふっと笑うと彼女を抱き締めている腕に力を込めて更に囁く。
「分かった…約束する。その代わり」
「その代わり?」
「約束が守れたら、また『プレゼント』を堪能させてもらうぞ」
「…」
「いいな」
「…ん…」
葉月は赤面して絶句する。絶句する彼女に土井垣は念を押す様に言い聞かせると、葉月はためらいがちにだが赤面したまま頷いた。
「とりあえずは…約束もした事だし、今…堪能させてもらう」
土井垣は彼女の反応に満足げに笑うと、また深く口付け、二度、三度と二人は快楽の海へ飲み込まれる様に沈んで行った。
そして翌日、試合前のスターズのベンチ。
「監督…元気だよな」
「ああ。…気のせいかご機嫌だし、肌の色つやもいつもよりいいぜ」
「昨日の今日だろ?宮田さんと一晩中過ごして相当疲れてると踏んだんだがな」
「まぁいいんじゃない?元気でご機嫌な土井垣さんがしっかり采配して、ついでに打ってくれれば、俺達だって助かるわけだし」
「そうだな〜」
そして反対側のアイアンドッグスのベンチ。
「土井垣監督、妙に浮かれてますね…」
「面白ぇと思って、不知火と一緒につい『塩』を送っちまったからな。…今日の試合、苦戦するぞ…でも」
「でも?」
「幸せなのはいいこった。それがこっちにも伝染ってくれるとありがたいがな」
「そうですね」
――土井垣はそんな事を言われているとも知らず、疲れなど微塵も見せないどころかいつも以上に元気でしっかり自分にも結果を残し、試合も完璧な状態で勝利した。片や葉月はその結果を知る由もなく帰りの飛行機も、電車の中もずっと安らかな夢の中だった、というのは余談である――
…はい、という訳で『プレゼントは君』の続きかつ土井垣さんお誕生日創作裏編でした。しかし書いていてどんどん土井垣さんがエロオヤジ化していってしまい、頭を抱えたのはここだけの話(苦笑)。何か私のエロの方向性違ってる気がするんですよね〜エロビデオ風?見てるものが悪いのか?もっと綺麗でふわりとしたエロを書きたいんですが…精進…つってもなぁ…(汁)。でもプレゼントをしっかり堪能した上、帰ってからきっと『約束したんだから約束は守れ』とまた手を出してる土井垣さんを想像すると笑えます←おい
で、彼女が表にも書いた通りリボンを付けてきたのはここでの小道具のため。『プレゼント』ですから(笑)。包装を開けて見て楽しんで使って楽しんで…おいおいおい!だからそういうやばい事は言わない!でも翌日も元気一杯の土井垣さんと比べて完全におねむの葉月ちゃん…一体何回手を出されたんだか…(汁)とにかく土井垣さん誕生日おめでとうございます!
[2012年 05月 27日改稿]