――…ねえしゅうちゃん、おっきくなったらしゅうちゃんはなにになりたい?――
――そうだな…これってものはわかんねぇけど、何かでっかい事やりてぇな。葉月は?――
――あのね、あたしはいっぱいあるの。たつきちおじいちゃまといっしょにだいくさんとか、いずやさんでおとうふやさんとか、しょうぼうしゃのるおしごととか、ほいくえんのせんせいとか。おうたうたうのもいいな〜。でもね、いっこだけきまったのがあるの――
――何だ?その一個って――
――うん、しょうくんのおよめさん。およめさんになったらずっといっぱいあそべるんだって。だから、おともだちになったしょうくんともっとあそびたいから、およめさんになるってやくそくしたの――
――誰だ?その『しょう』って奴。俺を差し置いて葉月を嫁さんにするなんて許せねぇな――
――しょうくんっていうのはね、ちょっとまえにりゅうたろうおじいちゃまにつれてってもらったおうちであそんでくれたおとこのこなの。おともだちになって、おそとでいっぱいあそんでくれて、とってもうれしかったの。でも、しゅうちゃんもあたしをおよめさんにしてくれるの?じゃあ、ずっとしゅうちゃんともいっしょにあそべるんだね。もっとうれしいな――
――…あのな葉月、お嫁さんっていうのは、誰か一人しか相手選べねぇんだぞ?お前がそのしょうって奴の嫁さんになるんだったら、俺の嫁さんにはなれねぇんだぜ――
――じゃあ、しょうくんのおよめさんになったら、しゅうちゃんとはもうあそべないの?しゅうちゃん、いなくなっちゃうの?……やだやだぁ!しゅうちゃんがいなくなっちゃうのやだぁ〜っ!――
――ああ、ごめんな。泣くなよ葉月…俺はいなくならねぇから。大丈夫だよ――
――でも、しゅうちゃんがいなくならなくっても、あたし、しょうくんのおよめさんになるってやくそくしちゃったよ…?そしたらしゅうちゃんのおよめさんにはなれないんでしょ?そしたらいっしょにいられなくなっちゃうんじゃないの?――
――だから、そんな簡単に嫁さんになる相手を決めなきゃいいのさ。お前がもっと大きくなってから、ゆっくり決めりゃいいんだ。…でもな、俺が葉月を嫁さんにしてずっと一緒にいたいって思ってるってのは覚えててくれよ?――
――うん!しゅうちゃんもあたしとおんなじに、ずっといっしょにいたいっておもってくれるのすっごくうれしいから、ぜったいおぼえとく!――